これは、昔々の出来事。
私達の住む「地上」の遙か上にある世界――「天界」で起きた
ちょっと小さな、けれどもとても大きなお話――・・・
ある日、王は、言いました。
“この少女は大罪を犯した。――よって死刑を言い渡す”
民は皆、考えました。
“こんな少女が一体どんな罪を犯したというんだ?”
しかし、彼女の罪を知るものは、王を除いて誰一人居ませんでした。
民は、今度は首を傾げました。
彼女は、見るからに温厚で優しそうな少女で、とても大罪を犯すような人には見えなかったのです。
けれど、唯一人彼女の罪を知る王は言います。
“「掟」なのだから、仕方の無いことだ”――と。
皆が皆、この死刑判決には不思議と違和感を感じていました。
しかし、王には誰も逆らうことはできませんでした。
彼女の親友も、肉親でさえも――・・・
そして――彼女の死刑当日
話を聞きつけた者は全員、その場所へと集まりました。
しかし、そこには彼女は居ませんでした。
そこにあるのは、ぽつんと置かれた死刑具だけ。
そう、彼女は逃亡していたのです――・・・